2025年6月30日月曜日

就活におけるグループワーク)【第2話】話すことが得意じゃなくても

【第2話】話すことが得意じゃなくても


 「進行役、誰かやりますか?」

 その一言で、場が静まり返った。誰もが様子をうかがい合うなか、内心「無理だ」と思いながらも、春菜はおそるおそる手を挙げた。

 話すのは苦手だ。でも、黙って終わるのはもっとイヤだった。

 「じゃあ、まず意見を出し合ってみましょうか」

 声は少し震えていた。進行もぎこちなく、タイムキープもうまくいかなかった。

 だけど、不思議と皆が春菜のペースに合わせてくれた。話しやすい雰囲気を作ってくれて、気づけば自然に議論が進んでいた。

 終わったあと、隣の子が笑って言った。

 「やりやすかったよ。ありがとう」

 話すのが得意じゃなくても、場を動かす力はある。そう思えた最初の一歩だった。 

0 件のコメント:

コメントを投稿

就活物語「半年後なら、迷わず迎えていた学生」

――時期だけが、噛み合わなかった――  その学生は、将来性という言葉がよく似合っていた。 考え方は柔らかく、吸収力も高い。 質問への受け答えも素直で、学ぶ姿勢がはっきり伝わってくる。  面接官の多くが感じていたのは、「確実に伸びる」という予感だった。 ただし同時に、「もう少し経験...