【第14話】「書きすぎ」が伝わらない理由
自己PR欄、800文字ぎっしり。
さくらは、「これで完璧」と思って提出した。
でも、面接で言われたのは、「伝えたいことが少し分かりづらかったです」というひとこと。あれだけ時間をかけて書いたのに――と、悔しさが込み上げた。
その夜、彼女は自分のエントリーシートを声に出して読んでみた。途中で息が切れる。話があちこちに飛ぶ。自分でも、なにが一番言いたかったのかがぼやけて見えた。
「文字で埋めるより、伝えたい“芯”を立てなきゃ」
さくらは翌日、最初の一文を丸ごと削った。読み手のことを考えて削る勇気。それが、伝わる言葉を生む第一歩だった。
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