【第13話】「学チカ」にアルバイトしかない
「学生時代に力を入れたことは?」
その問いに、何度も手が止まった。
サークルもゼミも、正直そこまで熱中した覚えはない。
唯一、人より多くやってきたのは、スーパーのアルバイトだった。
毎日の品出し、レジ打ち、接客。
ルーティンワークに見えるそれを、“頑張った”と言えるのか、不安だった。
でも、年末の混雑でクレームが重なった日、自分が考えてPOPを工夫し、売り場を並べ直したあのとき、少し誇らしかった気持ちを思い出した。
「自分なりに工夫した経験がある」
それが、“学チカ”で語れるものだと気づいた瞬間、ようやく言葉が自然に浮かび始めた。
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