――判断が割れた、その分かれ目――
その学生は、はっきりとした口調で話していた。
質問には即答し、自分の考えを迷いなく述べる。
「主体性がある」「自信を持っている」
面接官の多くが、そこを高く評価していた。
だが、議論が始まると、別の視点も浮かび上がった。
「自分の考えに固執しすぎていないか」
「意見が違ったとき、歩み寄れるだろうか」
面接中、彼は自分の成功体験を中心に語っていた。
判断の早さ、決断力、リーダーシップ。
どれも魅力的だが、失敗や迷いの話はほとんど出てこなかった。
問いを変えても、「自分ならこうする」という答えが続く。
現場では、正解が一つとは限らない。
意見がぶつかり、調整が必要になる場面も多い。
そのとき、彼はどんな表情を見せるのだろうか――
そこが最後まで想像しきれなかった。
比較対象となった学生は、判断に迷った経験や、
人の意見を取り入れて考え直した話を語っていた。
その“揺れ”が、柔軟性として評価された。
結果は不採用。
能力や自信が足りなかったわけではない。
ただ、組織の中で変化していく姿が、少し見えにくかった。
自信は大切だ。
だが、それが他者と交わる余地を持つかどうか。
私たちは、その一点で、最後まで迷っていた。
#面接官の視点
#自信と柔軟性
#判断が割れた理由

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