――緊張していたが、終盤で一気に心を掴んだ展開――
最初の5分で、「あ、この子は緊張しているな」と感じる学生は多い。
声が小さく、目線が定まらず、言葉もたどたどしい。
面接官としては、どうしても「大丈夫かな?」という印象を持ってしまう。
だが、その印象が見事に覆された学生がいた。
彼は最初、質問に対しても控えめな受け答えだった。
けれども、「学生時代に力を入れたこと」を尋ねたとき、空気が変わった。
「実は、部活で後輩の育成を任されたことがあって――」
そう語り出した瞬間、声に力が宿った。
仲間との衝突、悩み、そして最後にチームが笑顔になった瞬間を話す彼の姿は、さっきまでの緊張した学生とはまるで別人だった。
面接官の私たちは、いつの間にか聞き入っていた。
話の終わりに、彼が少し照れくさそうに言った。
「自分でも、こんなふうに人と向き合えるとは思いませんでした。」
面接後、同席していた部長がつぶやいた。
「最初は静かだったけど、最後には“人柄”が伝わってきたね。」
第一印象で評価が決まることもあるが、
それを覆す力を持つのも、やはり“本気で語れる経験”だ。
――緊張してもいい。大事なのは、途中で心を開けるかどうか。
彼の面接は、それを教えてくれた時間だった。
#面接官の視点
#第一印象を超える
#本気の瞬間

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