「この教室とも、もうすぐお別れ」
卒業まで、あと半年。
大学の教室には、秋の午後の日差しがやわらかく差し込んでいた。
就職先が決まった友人たちは、それぞれの進路の話で盛り上がっている。
「東京で働くんだ」
「私は地元に戻るよ」
笑顔で語り合う声を聞きながら、真央は静かにノートを閉じた。
いつものように過ごしているこの時間が、少しずつ終わりに近づいている。
そんな実感が、ふと胸を締めつけた。
窓の外では、校庭の木々が秋風に揺れている。
赤や黄色に色づいた葉がひとひら、ふわりと舞い落ちた。
季節が変わるように、自分たちの時間も動き出している。
真央はペンを手に取り、ノートの端に小さく書いた。
「次に会うときは、社会人だね。」
ページを閉じると、不思議と前を向けた。
寂しさの中に、少しの誇らしさが混じっていた。
#卒業前の気持ち
#仲間との別れ
#新しい始まり
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