【第36話】たった一文が、道をひらいた
「自己PRに書けるようなこと、ないんです」
面談でそう言った美咲に、キャリアセンターの先生は笑いながら言った。
「じゃあ、今日ここに来て話してくれたこと、そのまま書いてみたら?」
帰り道、美咲はスマホにメモを開いて、話したことを思い出しながら打ち込んだ。
サークルで後輩の相談に乗ったこと。バイト先でミスした子をフォローしたこと。うまく言えなかったけれど、誰かを気づかって行動してきた日々。
文章にしてみると、それはちゃんと「自分らしさ」だった。
書くことは、自分を認めることにもつながる。そう気づいた瞬間、美咲の中で何かがふっと軽くなった。
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