【第49話】「言葉の奥にあるもの」
グループワークの終盤、発表内容をまとめる作業で意見が割れた。
「こうした方が伝わりやすい」と主張する莉子に対して、「でも事実をそのまま伝えるべきだ」と譲らない陽翔。空気が張りつめる中、真奈がぽつりと呟いた。
「ふたりとも、伝えたい気持ちは一緒なんじゃないかな。」
その言葉に、場がふっと和らいだ。言葉の選び方も、伝え方も大事だけれど――一番大事なのは、「何を届けたいか」という想いだった。
莉子と陽翔は目を合わせ、互いに小さく頷いた。
発表は、静かで、でも確かな説得力を持っていた。
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